PRH Project の目的


 PRH Project の目的
 高度経済成長を支えた近代都市においては、「大量生産・大量廃棄」が建設産業のみならず、多様な産業活動や社会システム、さらには都市生活においても、それが豊かさの尺度であった。しかしこれからは地球環境への負荷を極減させるため、産業のあり方や都市生活の様式を変えると共に、都市や建築のつくり方におけるハード技術、その使われ方におけるソフト技術の開発が求められている。
 本研究では、都市社会システムの原単位となるモデルとして、現在のリサイクル率が10%以下とされている住宅を例に、その80%以上をリサイクルする完全リサイクル型住居システムを設計・施工するとともに、そのあらゆる部位・部材を監視する技術を確立することによってその環境負荷の低減を実証する。
 また 「大量生産・大量廃棄」の技術から低環境負荷・資源循環型技術への移行を図る上で必要になる技術の合理性を測定する尺度を開発し、技術評価システムを構築する。さらに合理的技術の開発を促すインセンティヴを内蔵する社会システムの設計原理をシステムの国際比較分析と社会実験的手法を用いて確立する。特に、技術的評価と社会経済的評価の乖離の原因を分析し、その統合を図る手段について研究を行う。

 社会班の研究課題
低環境負荷・資源循環型への移行を図る上での設計原理の確立
 ソフト系の新技術を活用した社会システム系の実験を行うことにより低環境負荷・資源循環型技術へ移行を図る上で必要になる技術の合理性を測定する尺度を開発し、技術評価システムを構築することで設計原理を確立する。

 CAD班の研究課題
低環境負荷・循環型住宅のリサイクル率算定のためのコンピュータ利用技術の開発
 住宅を構成する部位をライフサイクルにわたり統合管理しなければリサイクル率は算定できない。住宅を構成する細部位までの数量は数万点に及ぶため、実験住宅ではこれを記号化し、CAD上で住宅構成材のシステムから細部位に至るデータ管理を行う。このデータを利用し、設計・施工時、ならびに解体時における住宅部材の監視、ならびにリサイクル率の算定が行えるソフトウェアの開発を行う。

 建築班の研究課題
完全リサイクル型住宅における部位の組立・分解、接着・剥離のための新技術開発
 完全リサイクル型住宅の設計・施工・管理・更新・解体に当たって、システム、サブシステム、部位、細部位等、それぞれのレベルにおいて、その接合技術が非常に重要となる。
 そこで実験住宅を通じて、特に部位の接合部分の問題点を調査・分析することより、リサイクル率を高めるための組立・分解、接着・剥離の新技術開発を行う。

 設備班の研究課題
住宅からの排出物の処理・処分に関わる技術開発
 住宅からの排出物を可能な限り削減させるためには、自治体を中心とした社会システムの役割が重要となるが、リサイクルに合った分別収集にどこまで住民が協力できるかも非常に重要である。そこで実験住宅における排出物を無理なく収集、分別し、収納、処理・処分に至るまでのシステム技術を開発する。


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