SPRH基本設計における留意点
1. 接合部
 主要構造を鉄製とし、接合部は解体可能であることを考慮し簡素な形態で、接合の簡略化、カートリッジ化をはかる。建て方を容易にすると同時に、接合部の強度を保障するため、施工に際し現場での溶接は一切行わない。溶接の必要な部分は、工場溶接とする。
2. ユニット化、部品化
 屋根・外壁・内壁は、全て工場でユニット化し搬入する。躯体などの構造材の耐用年数を100年、床、天井、壁材を60年、電気設備、給水設備などを30年とし、それぞれの部材が別々に交換可能なカートリッジシステムとなるよう部品化する。
 壁・間柱等の内装壁は、大きさ、ジョイント部の工法を規格化した間伐材等の木材を利用する。
3. 自由なプランニング(可変部分と不変部分の分離)
 構造体となる鉄製の柱は、太径としその数を減らしスパンを大きく取る。スパンを大きく取ることによって高寿命に伴うライフスタイルの変化に対応した自由なプランニングを可能にする。
4. モジュール化
 部品化にあたり、壁・床・窓・戸及び家具等の寸法を30cmモジュールとし規格化する。(30cmの倍数で主要部位の寸法を決める。)
5. 部材の単純化
 各部材は一人でも施工が容易にできるよう細分化し、軽量化をはかる。また、個々の部材を単純化し、生産者-設計者による一貫システム設計を可能とする。
6. 施工の容易性の確保
 部材の単純化及びカートリッジシステムにより、熟練大工を必要としない容易な施工を可能とするととともに、工期の短縮、施工コストの低減をはかる。
7. 外断熱
 構造躯体の外側を断熱材で覆い外断熱とする。
8. 構造体の保護による高耐久性の確保
 構造躯体は耐用年数を高めるため、構造躯体の外側に外壁を設け鉄骨の躯体を風雨に晒さない。また、湿気をさけ乾燥状態を保つ。
9. 涼風の確保、自然換気
 階高を3.6mとし、窓を壁面の上部と下部に設け自然換気、涼風の確保を行う。
10. コクピット 
 コクピットでは、各部屋の温度センサーのデータを表示し、温度調整、換気用窓の開閉、空調ファンの制御、ルーバーの制御を行う。



文責:福田展淳(1998/11/27 up)