PROJECT

主に関わっているプロジェクトを紹介します。興味のある方は、気楽に連絡して下さい。

連絡先:hara@ojima.arch.waseda.ac.jp

2003年度研究テーマ

○コンバージョン(用途変更)に関する研究

 汐留、六本木ヒルズなど、都内において、大型再開発が完成し、稼働を開始する今年は、社会的に「2003年問題」として大きく取り上げられ、今後、オフィスの空室率の上昇が予測される。そのような中で、今後、事務所建築を住宅用途への変更、コンバージョンが注目を浴びている。本研究では、事務所建築を住宅へ変更する際に、エネルギー及び建築設備に注目し、その問題点を探り、経済的な観点から効率の良い変更のあり方を研究する。(文責:原)

○建築のエネルギー原単位調査

本年度は、用途変更事例及びSOHO住戸についてエネルギー調査を行っている。
  「建築の光熱水費」丸善,1984年
  「建築の光熱水原単位(東京版)」早大出版、1995年

○建物の寿命に関する研究

○自動制御機器の経済的価値に関する研究

○次世代型設備ユニット研究会(3年目、(社)建築設備綜合協会)

2002年度研究テーマ

○設備リニューアルに関する研究

 現在、日本は低成長時代を迎えている。そのため、日本において今後、活発な建築活動は望めず、また環境面からも、建築産業のフローからストックへの転換が求められている。フローからストックへの転換には、現在ある建築資源の有効利用と建築寿命の長期化が必要である。
 建築の長期使用において、問題となるのは、次の点にあると言われている。想定される使用年数全体の総費用ならびに地球環境問題で課題となる全体の二酸化炭素等の発生量や全体のエネルギー使用量、資源使用量が膨大の量になること。また建築物に求められる効用は、時間の経過とともに変化し増大していくのに対し、現実の建築物の効用は時間の経過とともに物理的劣化や機能的劣化や社会的劣化により減少し、その結果両者の間の乖離が著しくなる。
 その結果、無計画な建築寿命の長期化は、良質の建築ストックを不可能にし、特に社会的要求を満たすことのできない建物は、経済効果という観点から簡単に廃棄されることになり、建築寿命の長期化そのものを不可能とする。逆に悪質の建築ストックは、スラム化等の都市犯罪や都市衛生的観点、エネルギー需要の観点からも望ましいとは言えない。
 建物のライフサイクルは、設計段階、施工段階、維持保全段階、廃棄段階と分類することができる。この中において時間的に長期にわたるのが維持保全段階であり、建物長寿命化を円滑に実行に移すには、この維持保全段階をいかに計画的に管理していくことが重要である。この維持保全段階において特に影響が強いと考えられるのが、建築設備の保全である。建築物の維持保全段階では、設計段階及び施工段階を通じて得られたデータが蓄積されやすい。この段階の既存建築物のデータと建築設備の保全費との関係性を分析することにより、従来時間的に研究困難であった長期にわたる建築設備の劣化特性や地域特性の差異などが明らかにできる。

 本研究においては、はじめに従来研究を元に保全計画を行うためのデータベース項目の作成を行う。その上で、既存の建物設備の特性、管理形態、保全費、運用費の調査を行い、基礎データベースを構築する。次に調査データより建築設備の運用費と管理形態との関連性を明らかにし、最終的には建物設備の管理形態別による運用費・保全費の予測手法を開発し、最適な保全計画を行うためのツールを開発する。 (文責:原)

○建築インフラ研究会(第三期4年目)

我が国において建築活動が環境全体に与える影響は、他の産業活動と比較して大きい。具体的な例をあげると、建設分野は日本の全産業から排出されるCO2排出量の内30%以上を占めている。そのために現在、建築活動と関わりの深い産業分野において、建築活動が地球環境全体に与える影響を最小限に抑えるために建築の長寿命化、省エネルギー化、省資源化という目標を掲げ、その実現に向けて日々努力している。
 建築インフラ研究会はこれまで上記の目標を達成するために、建物単体規模の建築設備と都市レベルの都市供給処理施設の間に位置する供給処理施設として、地区レベルにおける地区インフラシステムを提案し、システムの技術内容とエネルギー面及び環境面に関する有効性の検証を行なってきた。

 本年度は、以下項目の研究を行う予定である。

・ 西富久再開発におけるインフラ設備評価及び管理手法の提案
・ 建築インフラ最適導入の為の評価手法の開発
・ 発注仕様書の作成手法に関する研究
・ 愛知万博における環境評価システムに関する研究

○次世代型設備ユニット研究会

 IT(情報技術)の発達により建築の計画・設計・施工・管理・改修・撤去に至る全過程はそのロジステックを含めて急速に変化し、新たな段階に進展しようとしている。この進展に伴い、従来の建築設備・機器は、その設計・製作・設置・運転・管理・保全などの一貫した、かつ総合的な対応が迫られることとなる。また、環境の世紀を迎え、建築設備・機器は循環型社会に適合したリユース・リサイクルを前提にしたものが要求される。さらに、建築分野ではスケルトン・インフィルの思想が具体化しようとしており、建築設備・機器をインフィル側から見た検討が必要となりつつある。
 本研究会では、このような社会的な要請に対応するため、「次世代型設備ユニット」とい名前の下に、幾つかの建築設備・機器について総合化、リユース化、リサイクル化、IT化、インフィル化などをキーワードとしてユニット化を検討し、 設備ユニット基本仕様、経済性・市場性について調査、研究を行う。(文責:原)

○建築のエネルギー原単位調査

 エネルギー原単位とは、業務、商業、住居などの建物用途別の年間、月別、時刻別(季節別)のエネルギー及び水の消費原単位で構成される。このうち、エネルギー消費原単位である冷房用、暖房・給湯用、一般電力(照明等)などは、建物全体のエネルギー消費量を把握するのに有用であり、エネルギー需要毎の消費量予測・分析にも有効である。また、都市規模のエネルギー消費実態の推計や今後のエネルギー消費予測、都市インフラストラクチャーを再構築するためのエネルギー負荷予測などを簡便に行うことが可能になる。当研究室では、研究室の発足当時(約30年前)から、用途別建物のエネルギー原単位を調査しており、1000件以上のサンプルを保有している。近年では、冷蔵倉庫、データセンター、市場、高層マンション、超高層オフィス(2000年度)、大学施設、福祉施設・・・・等の調査を行っている。原単位の著書として、以下の参考文献を参照してもらいたい。(文責:原)
  「建築の光熱水費」丸善,1984年
  「建築の光熱水原単位(東京版)」早大出版、1995年


○愛知EXPO2005 BIOS’05

2005年に愛知県で開催される万国博覧会において、尾島研究室は、以下の提案を行っている。

「本博覧会における供給処理計画では、会場を仮想閉鎖空間「Bios05」と捉え、会場準備、会期中、会場撤去の各段階における、全てのインパクトの環境計測を行い、プレゼンテーションすることで、循環型社会のモデル・環境負荷を積極的にアピールする。

BIOSの語源:
 1991年、米国・アリゾナ砂漠で「バイオスフィア2」という2年間にわたる実験が行われた。バイオスフィアとはあらゆる生命体が太陽光・大気・水を利用して生活をする閉鎖生態系の意で、バイオスフィア1が地球であるとして、それを人工的につくった閉鎖生態系「バイオスフィア2」にて生活実験を行ったものである。その後、 ロシアで「Bios3」、日本・六ヶ所村「Biosphere-Japan」といった実験が行われてきた。

具体的手法:
 来訪者の様々な行動や供給処理施設の負荷を徹底的に計測することから、快適・安全・娯楽性のある博覧会環境をつくり出す。環境計測・Bios05の目的は、来訪者一人一人が環境へのインパクトを認識することで、環境に対する喚起を与え、 テーマ「自然の叡智」へとアプローチすることである。
■快適性・省エネ性 供給処理施設の効率的・かつ省エネルギー性のある制御・管理システムを構築することで、つねに来場者が快適な博覧会環境を体感することが出来る。
■安全性 適切な来訪者行動の管理・制御を行うことで、主要施設および交通機関の混雑緩和・および位置把握の認識をすることが可能となり、安全性が保たれる。
■娯楽性 環境計測データをパフォーマンス的に公開するほか、計測データを用いた環境ラリー等のイベントを行うことで、来訪者が、娯楽性を持った、循環型社会の構築に資するような促進効果をもたらすプログラムを体験することが出来る。」

 上記提案を実現する為、Bios理念の評価、計測手法、ツールの研究開発に取り組んでいる。
 また、研究室は、万博のインフラ整備の基本計画、基本設計の監修を行っている。

2001年度研究テーマ

○超高層マンションのエネルギー原単位調査

 住宅建設が盛んな昨今であるが、特に超高層というわれる部類のマンションが都心部を中心に林立し始めている。超高層マンションは従来の住宅のエネルギー消費と比較し、どのように相違しているのかを分析し、新しい時代に合ったエネルギー原単位の作成することが、本テーマの目的である。

○データセンターのエネルギー原単位

 IT化の促進、インターネットの普及に伴い、データセンターと呼ばれる建物が急増している。従来のオフィスに比べ、単位面積当たりのエネルギー消費(原単位)は、10倍となることが昨年度の研究調査より明らかとなった。本年度は、昨年の成果を踏まえ、追加調査を行い、データセンターのエネルギー消費の実態を明らかにする。

○早稲田大学大久保キャンパスの設備計画

 早稲田大学大久保キャンパスは、今年で36年目を迎え、建物及び設備の老朽化と、要求性能に対する設備容量が限界に来ている。また、将来のキャンパス構想と合わせ、設備面においての提案が望まれている。そこで本研究では、キャンパスの設備の実態調査及び、周辺地域のエネルギー調査を行い、その結果より周辺地域を含めた大久保キャンパスの設備計画提案を行う。

○建築インフラ研究(第三期3年目)

 昨年度に引き続き、西富久町再開発計画の設備提案及び、地域冷暖房導入の可能性を探る。

○建築設備の更新時期算定ツールの開発

2000年度研究テーマ

○冷凍倉庫のエネルギー原単位調査

 冷蔵倉庫は低温貯蔵機能を保有し、低温流通機構(コールドチェーン)の要の建物である。本研究では、東京都を中心に66庫の冷蔵倉庫の設備能力と年間・月別・時刻別の使用電力量の実態調査を行い、現在の冷蔵倉庫の特徴把握と冷蔵倉庫の分類を行い、最終的に分類ごとの原単位の作成を行う。(担当:伊藤・原)

○建築インフラ研究会(第三期2年目)

 地球温暖化防止京都会議(COP3)において、日本は2008年から2012年の5年間において1990年の基準を6%CO2排出削減が義務づけられていることは、周知の事実である。それには、日本の全産業から排出されるCO2排出量の30%を占める建設業界において、建築分野の取り組みが急務であると考えられる。
 経済的縮小及び環境面より、従来のスクラップアンドビルドと言われるフロー型から、建物を都市資源と捉えたストック型への思考転換の必要性が問われている。具体的な事項として、平成12年度に住宅性能の基準が法的に公開され、任意的にではあるが表示の開示が求められる法律が施行された(住宅の品質確保の促進に関する法律)。その内容は、構造や防災から劣化防止、維持管理、設備の性能に関する項目を含んでおり、社会的資本として建物を捉える芽生えが見え始めている。
 同じ平成12年度に、建築基準法の一部が改正され仕様規定から性能規定の選択が可能となった。このことは設備の面においても積極的計画を行うことが、コスト面、性能面に多大な影響を与えることを意味していると考えられる。
 第3期建築インフラ研究会の初年度である昨年度の成果は、第2期において提案されてきた地区インフラを具体的ケースとして、北九州研究所、西富久地区に当てはめ評価するということであった。その結果、地区インフラとしての環境性、非常時対応・安全性の面において従来型のインフラと比較し有効であることが明らかとなった。経済性の面に関しては、提案インフラが基本的に省エネルギー型設備、利便性のよい設備などであるため、ランニングコストにおいては、従来型と比較し削減効果はある。しかし、イニシャルコストの面において、従来型と比較して大きく上回る傾向もみられた。これらのケーススタディは、初期計画における検討手法としては、多いに意義のある手法であると考えられるが、提案インフラを具体的に導入する段階までには至っていない。
 そこで、これらの成果を踏まえ、本年度は計画の具体性を帯びてきた西富久地区のケースにおいて実際にこれらの提案インフラを導入することによる建築計画への影響、背景で述べたストック型の建築提案として建築設備の配置を検討する。設備提案、イニシャルコストから管理運営まで含めた事業主体の在り方を提案する。(担当:原)

○カタール設備設計

 カタールの首長であるアルサーニ氏の邸宅および迎賓館の設備設計プロジェクトである。敷地約3万F、建物は2棟ありその一つ住居は、建築面積2500F、延床面積5500Fの建物である。もう一つの迎賓館は、建築面積4800F、延床面積4800Fである。
 カタールは、アラビア海の西岸に位置する国である。首都はドーハ、面積約1.1万I(新潟県とほぼ同じ)、総人口70万人。カタールの全輸出量の約55%が日本に輸出されている。また国民一人当たりの年間電力消費量は約11000kWhである。気候は、砂漠気候に属するが、海が近いために冬は暖かく夏は高温多湿である。夏場の最高気温は摂氏46度に達することがある。風速は平均して2〜4m/sであり、また降水量1mm以上の日はほとんどない。
 インフラ整備状況の特徴として、基本的に電気が普及しており、電気は無料で利用できるということがあげられる。その他の点に関しては、未確認である。ただし、計画周辺において上下水道は完備している。(担当:許・松村・原)

○設備リニューアルに関する研究

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